桐島洋子さんの著作に「聡明な女は料理がうまい」という本があります
1976年に刊行された、のちにベストセラーとなったこの本は、
長い間私の大切な愛読書でした
桐島洋子さんって、若い人はあまりご存じないかもしれませんが、
桐島カレンさんのお母様、といえば、お分かりになる方もいらっしゃるでしょね
その当時、桐島さんは「淋しいアメリカ人」というノンフィクションで大宅壮一賞をとった「時の人」でした。
シングルマザーとして3人の子を持つ、時代の先端を行く女性。
私など、本当に絵に書いたような、その時代の普通の生き方をしていた者にとっては、
桐島洋子さんの勇気ある自立した生き方は羨望ではありましたが、
自分には遠い世界の人、といった認識でいました
そんな彼女が書き下ろしたのが、この「聡明な女は料理がうまい」
あの桐島洋子さんが、料理の本を書く、と、、、、
意外な思いで、その本を買ったのですが、
読んでいくうちに、すっかり魅了されてしまいました。
それまで、取り立てて桐島洋子ファンではなかったのですのに、、、、、
そしてその本は、生涯の私の愛読書となったのです
大切しているその本は、前の夫とのアメリカ駐在生活の時にも、海を渡って持っていきました
時々出しては読み返したり、その中に書いてあるレシピーを参考に料理を作ったり、
まさに、私の料理人生のバイブルといえる本でした
その本が、今日書店に入ったら、目の前にあるではないですが!!
アノニマスタジオという書店から復刊されたんですね
懐かしい懐かしい大切な旧友に、思いがけず巡り会えたような気持ちでした
もちろん、飛びつく思いで買いました。
だって、私が持っているものは、40年近く経過して、汚れたり、
水に濡れてにゃふにゃになっていたりで、見るも哀れな様相をしているんですもの
そして、家に帰る間も惜しく、近くのカフェに飛び込んで読み始めました
そして、、、読んでいるうちに、涙が溢れてきました
あのころ、このころ、この本を通してみたり経験したりしたことが
走馬灯のように浮かんできたのです
ちょうどこの本を買ったときは、二番目の子供を生んだ頃。
忙しい年子の子育ての中でも、私は少しの時間を見つけては本を読んでいたものです。
将来は、小さなレストランを開きたいな、、、なんて夢を持っていたのもこの頃でした
27歳の頃の私が、私の横にいて、この本を読んでいるような、、、
そんな気がしてきました
もし、その頃の私がそばにいたら、あんなこと、こんなこと・・・いろんな話がしたい・・・
・・・・いえ、きっと泣き出してしまって、何も言えないでしょうね
その若い時の私は、きっと、
「おばあさんどうなさったの?」 って聞いてくれるでしょうね
その頃獏漠然と考えていた、小さなレストランを開く夢
今実現しちゃってます
若い時の夢が現実になるなんて、きっと、私の人生は幸せなんだろうと思います
はい、もちろん。いつも幸せに感じてはいますが(^−^)
今日も昼間はダンスの個人レッスンに行き、その帰りにこの本に出会って、
夜は、店もそこそこ賑わって、大好きなダンスの友人たちが食事に来てくれて
「美味しかったです!!」とお客様方が笑顔でお帰りになる・・・・・
料理人としては、本当にうれしい一瞬
平和で平凡な幸せな日常ですね
一冊の本が、私に幸せな毎日を生み出してくれ、
これからも、そうであり続けるだろう、そんな気がします。
この本は、娘に読ませよう。
娘にとっても、大切な本の一冊になるんじゃないかしら