この渋い歌声、覚えていらっしゃる方も多いと思います。
往年の、名ドラマ 『七人の刑事』 の、テーマソングです。
男声のハミングで始まる、このテレビドラマは、1961年に始まりました。
誰しも耳にした、テーマソングの男性のハミングは、何人の歌手が歌っているのですが、
その何代目かに歌っていたのが、西川慶(ペドロ・西村)と言う男性です。
<<運命の出会い>>
ペドロさんは、チューチョの大ファン。
京大の理工科を卒業し、日立製作所に勤めるエリート会社員でしたのに、
ちょうどその時1964年。
初来日した、チューチョの【トリオ・デルフィネス】のコンサートへ行き、
チューチョの歌声を聴いて、天の啓示を受けた彼は、
『おれのやりたかったことはこれなんだ!!』
と、さっさと会社を辞めて、歌手になった人なんです。
それ以来、彼はラテン歌手として活躍。
晩年は、郷里の関西で演奏活動。
また、カルチャーセンターの人気講師として『発声楽』の講座を持つなど、
精力的に活躍していましたが、
今年の1月1日、天に召されて旅立ってしまいました。
彼がチューチョに会ったのは、チューチョ初来日の年1964年の六月。
私はその1カ月前の5月にチューチョに会いました。
ペドロさんも私も二人とも、チューチョの音楽に深く魅せられ、人生を変えた人間です。
彼の経歴を聞いて、私はしみじみと、思ったものです。
ペドロさんが男性で良かったわ〜〜〜
もし、彼が女性だったら、私の強力ライバル出現よ!!
美形のペドロさんが女性なら、チューチョも彼に惚れてたかもしれない〜〜〜
(^-^♪
そんなこんなで、ペドロさんとチューチョと私の交流が始まりました。
関西に仕事で行くと、いつも彼が会いに来ます。
演奏の仕事で船に乗って神戸に停泊した時も、
京都に演奏に行った時も、大阪に行った時も、
もちろん、彼が東京に来た時に、いつもテピートで歌ってくれたものです。
チューチョのマリアッチとペドロさんで、ラテンのCDのレコーディングもしました。
懐かしい思い出がいっぱいです。
自分の好きなことを全うして生きた彼は、見た目10歳は若く見える、素敵な人でした。
でも、どんに若く見えても、歳は取っていくし、病魔にも勝てません。
亡くなられたお知らせが奥さまから届き、彼のことをブログに書きたい、と思っても、
悲しい時には、その現実に向かい合えないもので、
今日まで、文章にすることができませんでした。
いまでも、ひょっこりと、関西訛りの渋い声で
『久美ちゃん、来週東京に行くからな。歌うで』
という電話がかかってくるような気がします。
彼が歌う『7人の刑事』
人生を悔いることなく生き抜いた、男の心を聴くようです