視覚障害者の方々が楽しむ 社交ダンスです。
多くのサークルがあり、練習を重ね
年に3回の試合も楽しむ。
そんな活動をしていらっしゃいます。
実は、先日の日曜日に、その試合があり、
私は初めて、ボランティアとして、試合に参加してきました。
以前からその存在を知ってはいましたが、
初めてその方々の踊りを拝見したのは、去年の9月、
武道館でのプロの試合の中での、演技発表でした。
ワルツとタンゴ、
ルンバとチャチャ、
視覚障害者と健常者がペアを組んで、踊っていらっしゃいました。
その楽しそうなこと。
生きる喜び、踊る喜びが溢れ出て、私は涙を流しながら拝見していました。
そして、その後、ふとしたことで、友人がその視覚障害者のダンスサークルでボランティアをしていることを知り、練習会の見学に行ったのです。
公民館の一室で、大勢の方々が楽しそうに練習していらっしゃいました。
私の父は、ずっと、いろいろなボランティア活動をしていました。
でも私は、生活に追われなぜか縁がなく過ごしてきていたのですが、そんな父の姿は、私の中に残っていたのでしょう。
私は日々超多忙の身ですが、何のためらいもなく、そのサークルに、ボランティア会員として入れていただくことにしたのです。
ボランティアにもいろいろあって、
踊りのお相手をするだけではなく、
家から会場までの往復を一緒にする人、
会場でCDをかけるなどのお手伝いをする人、など、踊り以外でもあります。
もちろん、会場を取ることも大切な仕事です。
ダンスの講師は、
学生時代チャンピオンだった女性。
その方の縁で、私はこのサークルにたどり着いたのですが、
目が見えない方に教える、ということの大変さが、見ていると伝わります。
だって、踊って見せてあげても、見えないんです。
人の踊りを見てまねができない。
自分の踊りを鏡などで見ることができないから、直しようがない。
「このように・・・」
なんて言葉は、一切通用しないんです。
目の見える人に教えることは、なんて簡単なことでしょう!!
もう、手とり足とり、相手の足元にうずくまって足を引っ張ったり、ものすごい運動量で教えていらっしゃいました。
私がペアを組んだ男性は、中途失明なさった、学生時代に競技ダンスをなさっていた方。
さすが昔取ったキネヅカで、ホールドやボディはしっかりしていらっしゃいます。
サークルに見学に行った私は、その方にとってまさに「鴨がネギをしょってきた女性」。
私、人生初の?熱烈ラブコールで、パートナーに望まれました。
(こういう経験は、ま、嬉しいものですね/笑)
試合当日、
それは私には未経験のことでしたので、戸惑うことばかり。
試合用の燕尾服に着替える時、子供に着せてあげるようにお手伝いしないといけなかったんです。
ご自分の家でなら、どこに何があるか、お分かりになるのでしょうが、場所が変わると、
「はて、どこに置いてあるのやら?」
ということになり、ひとつひとつ、
「はい、カフスボタンですよ」
「はい、ネクタイですよ」
「靴はここに置きましたよ(手に触らせる)」
と、声に出して・・・これが大事なんですね、声に出して手渡します。
モダンの試合の後、短い時間でラテンの衣装に着替えましたので、その時は、時間がなくてめちゃくちゃ大変でした。
試合は
男性の視覚障害者クラス
女性の視覚障害者クラス
男女ともに視覚障害者クラス
と、3つあります。
フロアーは、スピーカーを一つにしたり、片方の壁面のカーテンを閉めて暗くしたり、など、若干の明暗が分かる方のためや、耳で方向を判断する方のためへの工夫がなされているそうで、感心しました。
私の相手の方は、フロアーに出て行き場所を決めたら、
「これは、壁に対してどの位置ですか?」などの確認の質問がありました。
ご自分では判断がつきかねるので、確認なさるのですね。
女性が障害者の組よりも、男性が見えない人の組のほうが、いろいろと問題が多くあると思うのですが、そこは慣れたもの、と言いましょうか、鋭い勘をお持ちなのでしょう、音楽が始まったら、他の組とぶつかることもほとんどなく、上手にフロアーを使って踊られます。
それはとても見事でした。
モダン部門は ワルツとタンゴ。
ラテン部門は ルンバとチャチャ。
実は私が、試合の直前までインフルエンザにかかっていて、その前からも、体調を崩していて丸々1カ月、練習できなかったので、実は当日ルーテン(踊りの振り付け順)もわからない、ぶっつけ本番のダンスでした。
もし私がインフルエンザのために出場できなかったら、この試合を楽しみにしていらした方にとってはとても残念なことだから、と、治るまで気が気ではなかったし、
多少体調悪くても、這ってでも行くつもりではいました。
ですので、病み上がりの練習不足で成績は不本意でしたから、次の試合で頑張りましょうね、と、ブラインドダンスのリーダーさんと、話し合ってお別れしました。
終わって思いますに、健常者は、普段何とも思わないでいることが、どんなにか恵まれていることだったのだ、と、改めて思います。
普段の試合では、私は自分の事だけ考えて準備をしていればいいんですものね・・・
いつものリーダーさんに会ったときに、思わず、
「自分で服を着てくださって、一人で何でもやってくださってありがとう」
と、言ってしまいました・・・・キョトンとするリーダーさん(笑)
そんな普通の事が素晴らしく思える体験でした。
好きなダンスで人さまのお役に少しでもたてるなら・・・
そんな思いで始めたこのボランティアですが、今回一回だけでも、ずいぶん多くの事を学ばせていただきましたし、これからも、あらたな発見、新たな感動を得ることができるんだろうな、と思うと楽しみです。